当ホームページに訪れていただきありがとうございます。
当教室の主宰者よりご挨拶と当教室の目指すもの、理念、ご参加いただける人へのお願いについて述べさせていただきます。
まず私のこれまでの経歴についてご紹介します。
私は医学部卒業後7年間、血液内科臨床に従事しました。大学院生時代は、移植医療について、研究と臨床の両方の側面から取り組みました。その後学位を取得しましたが、移植医療の限界を感じつつあったので、病態解明から特異的な治療標的を同定したいと考え、基礎の教室で悪性リンパ腫の病態を研究しました。留学を経て、再度、臨床の教室で、臨床と基礎研究の2足草鞋を履いたのち、2011年に東海大学で、教室の主宰者となり、造血悪性疾患、特にEpstein Barrウィルス(EBV)が引き起こす悪性腫瘍に取り組んで参りました。臨床に近いところで基礎研究を行ってきたおかげで、EBV 関連癌であるアグレッシブNK白血病については、有望な治療標的を同定することに成功し、現在臨床治験が開始されています。と同時に、EBVというがん原性ウィルスによる発癌においては、急速に癌が発生する特殊条件であり、通常では見逃されてきた新しいサイエンスが顕著に現れるため、その解析は、少々大袈裟な表現になりますが、「教科書を塗り替える」仕事に結実することがあることがわかってきました。
2024年1月に大阪大学微生物病研究所に着任しました。
今後は、アンメットニーズの高い疾患に対する新規治療開発と共に、病気という極端な条件下において現れてくる、従来見逃されてきた現象に対して、新たなサイエンスを構築していくことを目指していこうと考えています。
上記を若い研究者とともに楽しみつつ、しかも、十分な成果を持って推進するべく、そして一人一人が、実り多い研究生活を当教室で過ごすために、「One for All, All for One」を当教室の理念とします。近年は、大きな仕事を遂行するには多くの専門的なデータが必要され、多大な時間を要します。ただ、私の研究室における活動は、それぞれの研究者にとっては、それぞれのキャリアのための単なるステップです。それほど長時間を費やすものではないと考えます。そこで、複数の研究者で共同して研究を推進して仕事を分け合うこと、一人一人の研究者はそれぞれ個性があり得意不得意がありますので、ラボ全体でコストパフォーマンスの良い研究成果を上げるために、皆が得意なところを出し合うことによって、不得意なところを補完してプロジェクトを完遂することを重要視しています。
博士課程学生は修了内の学位取得を。ポスドクは限られた時間内にしっかりキャリアアップする仕事を。その上で、ラボとしても、患者さんに届けられるソリッドな研究と、サイエンスの進歩への貢献を実現していきたく願っています。